■対策編
■ 対策編(基本編)
どの企業様も次の2つは最低限必要です。
1.就業規則・賃金規程を整備する
2.賃金等の内容の雇用契約を作成し明示する
■ 対策編(個別編)
具体的な対策は、会社により仕事の内容等労働条件が異なりますので、ご自分の会社に適した対応策を選択することが重要です。 それでは個別の対策をご紹介します。
①【みなし労働時間制の導入】
(1) 事業場外労働みなし労働時間制
会社の外で仕事をする場合で労働時間の算定(把握)が困難な時に、あらかじめ定めた時間労働したとみなす制度です。営業職等を想定した制度ですが、現実に認められるケースは例外的な場合に限られ、通常の業務への適用は無理でしょう。
有効性の程度 → ×
【裁判例】
・サンマーク事件 (大阪地裁:H14/3/29)
出版社の営業職で3割程度は直行直帰であるが、日報、報告書で上司が労働時間を把握しており、具体的な指揮命令はなかったものの「労働時間の算定が困難」とは言えない。
・日本インシュアランスサービス事件 (東京地裁:H21/3/27)
保険の事故調査担当者について、事業場外みなし労働の適用を認める数少ない事例。
(2) 専門業務型裁量労働制
特定の専門職(研究開発、デザイナー、プロデューサー等)に限り適用が可能です。
但し、みなし時間等の労働条件は、合理的な範囲に設定することが条件です。
有効性の程度 → ○
(3) 企画業務型裁量労働制
労使委員会の設置が必要ですので、ある程度の規模の会社が対象となる制度です。
有効性の程度 → △
②【管理監督者(労基法第41条の2項)の導入】
例えば、課長以上は管理職なので、残業代の支払いは必要無いと誤解されていました。
行政解釈では「管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者をいい、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであるとされています(昭22.9.13発基17号)。」
しかし、実際の法律の解釈は行政解釈よりも限定的で、労基法で定める管理監督者に該当する労働者はほんの一部です。役員クラスの経営幹部というイメージで100人に1人程度の感じです。
※管理監督者に該当すれば、残業代の支払いは適用除外とされます。
但し、管理監督者でも深夜残業の支払は必要です。
有効性の程度 → ×
【裁判例】
※認めない事例
・アクト事件 (東京地裁:H18/8/7)
飲食店マネージャーの管理監督者非該当、452万円と同額の付加金支払を命じる
・セントラルパーク事件 (岡山地裁:H19/3/27)
ホテルリマーニ(牛窓)料理長の管理監督者非該当、割増賃金、付加金支払を命じる
・マクドナルド事件 (東京地裁:H20/1/28)
店舗店長の管理監督者非該当。割増賃金約500万円+250万円の付加金支払を命じる
・カレーハウスココ壱番屋店長事件 (大阪地裁:H19/10/25)
店舗店長の管理監督者非該当。割増賃金約300万円+同額の付加金支払を命じる。
※認める事例
・姪浜タクシー事件 (福岡地裁:H19/4/26)
タクシー会社(従業員数200人強)営業次長の管理監督者を肯定。
専務に次ぐ地位で年収700万円は従業員中の最高額
・日本ファースト証券事件 (大阪地裁:H20/2/8)
社員数約350名、大阪支店長(約30名)の管理監督者を肯定。割増賃金の請求棄却。経営上重要な上位の職責、人事権有り、月収80万以上の高額
③【基本給組み込み型の給与制度】
例えば、基本給を30万円とし、この中に、30時間分の残業代を含むというものです。
理屈上は違法ではありません。しかし、現実の裁判などで認められる可能性は低いので、お勧めできません。
有効性の程度 → ×
【有効性を認める裁判例】 小里機材事件:最高裁第一小判昭63.7.14労判523号6頁
●月15時間の時間外労働を見込んだ上で、その分の時間外手当を加えて基本給を決定したとの主張に対して、仮にそのような合意がなされたとしても基本給のうち時間外手当に当たる部分を明確に区分して合意し、かつ、労基法所定の計算方法による額がその額を上回るときはその差額を当該賃金の支払期に支払うことを合意した場合にのみ、その予定時間外手当分を当該月の時間外手当の一部又は全部とすることができると判示している。そのような区別がなされない場合には、上記の合意の主張は失当な主張となる。
【裁判例】
・ピーエムコンサルタント(年俸制)事件 (大阪地裁:H17/10/6)
年俸制に残業手当を含む規定があってもその額が不明であるので認められない。
320万円の割増賃金と同額の付加金支払を命じる。
・ニュース証券事件 (東京地裁:H21/1/30)
「月30時間までの時間外勤務についてみなし残業時間として基準内賃金に含める」の規定は金額が明確でなく認められない。
④【定額残業手当の支給】
営業手当、管理職手当のような定額の○○手当を残業代として支給する方法です。
※営業職、専門職や管理職(店長他)のような労働時間の算定が困難とまでは言えないが、
なじまない職種については、合理的な支給方法だと思われます。
残業代の定額払いは、残業代計算の手間が省けて会社にとっては便利な支給方法ですが、労働基準法第37条の例外であることを理解し、合理的な範囲で導入すれば法的にも有効ですが、合理的な範囲を逸脱すれば無効になります。そして、次にご説明する全ての要件を満たす必要があります。
決して、簡単ではありませんので、ご注意下さい。
有効性の程度 → ○(但し、合理的な場合に限る)
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