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人事労務重要用語

[A]労働契約及び就業規則は、当事者の一方が相手方の同意がなくても変更できるか?

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 �@ 就業規則の作成又は変更によって、労働者の同意無く労動条件を一方的に不利益に変更することは、原則として許されない(できない)。

 �A 労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からその「変更内容が合理的なもの」であるかぎり、許される。(秋北バス事件)

 �@の「原則として許されない」とはどういうことか?
  ・労働契約も契約である以上、契約法の原理原則が適用される。
  ・契約というのは、相手方の同意なくして一方的にこれを変更することができないのが

契約法上の大原則である。
・当事者の一方が相手方の意思を無視して変更し得るというのは、近代契約法原理の許容するところではない。(秋北バス事件:裁判官の反対意見からの抜粋)

 契約を変更するには、相手方の同意が必要であり、一方的に変更できるということは、契約法上の大原則ではあり得ない(許されない)ことである。

 原則に対する例外はどこの世界にもありえることですが、就業規則の不利益変更における例外は、極めて狭い限定された場合といえるでしょう。

 では、変更できなければ(すなわち、相手の同意を得られない場合)どうなるかというと、通常の契約法の例よると契約は解除されることになります。

 �Aの「変更内容が合理的なものであれば一方的変更も許される」とはどういうことか?

 通常の契約であれば、変更の合意ができなければ、契約そのものがなくなります(解除)が、労働契約は、その特殊性から簡単には解除すなわち解雇することはできません。

 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」(労働基準法第18条の2)

 すなわち、解雇を行うには「合理的で正当な理由」が必要であるが、これを認める基準は、かなり厳しく、容易には解雇できないのが現状です。

 一方的な変更もできない、又、解雇もできないという矛盾を解決する方法が「合理的」という基準を設けることにより不利益変更を認めるという法理(結論)です。

 我が国では、解雇は、最後の手段と解釈されるぐらいその基準は厳しいですが、不利益変更の合理性の有無を判断する基準は解雇を回避するための手段として、解雇に次ぐ厳しい基準と考えられています。

 合理性は、労働者の合意に代わるものであり、その背景には経営上の理由(経営維持)による解雇回避が前提としていることを認識する必要があります。

「不利益変更は難しい、合理性のハードルは厳しい」というのは以上の理由からです。