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人事労務重要用語

就業規則の周知義務

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常時10人以上の労働者を使用する使用者は、一定事項について定める就業規則の作成し、所轄労働基準監督署長に届け出ることが義務づけられています(労働基準法89条)。この場合、事業場の労働者の過半数代表(過半数労働組合又は過半数代表者)の意見を聴き、届け出の際にその意見書を添付する義務があります(90条)。さらに、使用者には、事業場への備え付け、労働者への書面の交付等の方法で就業規則を事業場の労働者に周知させる義務があります。(106条)

これらの義務を怠った場合、就業規則の効力はどうなるのでしょうか?

まず、(89条)一定事項(法定の必要的記載事項)の記載漏れ及び届け出ていない場合と(90条)意見聴取漏れの場合は、各条の義務違反となりますが、就業規則の効力には影響はありません。

ところが、(106条)周知していない就業規則の効力については、判例は以下の通り否定しています。周知は原則として106条による周知が必要です。但し、例外的に就業規則の内容を相当程度詳しく説明した場合は、周知したと解釈される場合もあります(実質的周知説)が、あくまでも例外的と認識すべきでしょう。


【労働基準法第106条第1項】
 使用者はこの法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第18条第2項、第24条第1項但書、第32条の2第1項、第32条の3、第32条の4第1項、第32条の5第1項、第34条第2項但書、第36条第1項、第38条の2第2項、第38条の3第1項並びに第39条第5項及び第6項但書に規定する協定並びに第38条の4第1項及び第5項に規定する決議を、常時各作業場の見易い場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない。
 使用者は、この法律及びこの法律に基づいて発する命令のうち、寄宿舎に関する規定及び寄宿舎規則を見易い場所に掲示し、又は備え付ける方法によって、寄宿舎に寄宿する労働者に周知させなければならない。

【周知していないとして就業規則の効力を否定している判例】

�@フジ興産事件 (最高裁二小 平15.10.10)

使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する。(最高裁昭和49年(オ)第1188号同54年10月30日第三小法廷判決)
そして就業規則が法的規範としての性質を有する(最高裁昭和40年(オ)第145号同43年12月25日大法廷判決)ものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要するものというべきである。
原審は、フジ興産が、労働者代表の同意を得て旧就業規則を制定し、労働基準監督署長に届出た事実を確定したのみで、その内容をセンター勤務の労働者に周知させる手続がとられていることを認定しないまま、旧就業規則に法的規範としての効力を肯定し、本件懲戒解雇が有効であると判断している。原審のこの判断には、審理不尽の結果、法令の適用を誤った違法があり、その違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであり、更に審理を尽くさせるため、原審に差し戻された。