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重要労働判例特集

イーライフ事件東京地裁(平25.2.28判決〔確定〕 第19部 裁判官:伊良原恵吾)

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事件の概要(競業行為への加担で解雇された元社員による残業代、退職金請求

 競業他社(元上司が退職後設立した会社)の業務を請け負い、懲戒解雇された原告甲野太郎(X)が、被告株式会社イーライフ(Y社)に対し、①懲戒解雇事由があるとしてもその悪質性は高くないなどとして、退職金規程所定の退職金の支払いを求めるとともに、②割増賃金およびこれに伴う付加金の各支払いを求めた事案である。

 

【1】退職金の請求

本件競業行為等への加担は、競業避止義務等に著しく違反する悪質な行為であって、それまでの原告Xの勤続の功を抹消してしまうほどの著しい信義に反する行為(背信行為)であったとして、否定された。

【2】残業代(割増賃金)の請求

 精勤手当が残業代として、「みなし残業合意が原被告間で成立していたとしても、その合意は無効」と判断した。

みなし残業=定額残業代(割増賃金)の支払いに関する個別合意の有効要件(3要件)

(1)当該手当が実質的に時間外労働の対価としての性格を有していること

少なくとも当該手当が、(ア)時間外手当に従事した従業員だけを対象に支給され、しかも(イ)時間外労働の対価以外に合理的な支給根拠(支給の趣旨・目的)を見出すことができないことが必要

(2)定額残業代として労基法所定の額が支払われているか否かを判定することができるよう、その約定(合意)の中に明確な指標が存在していること

少なくとも当該支給額に固定性(定額制)が認められ、かつ、その額が何時間分の時間外労働に相当するのかが指標として明確にされていることが必要

  (何時間分相当するかの計算が容易にできること)

(3)当該定額(固定額)が労基法所定の額を下回るときは、その差額を当該賃金の支払時期に精算するという合意が存在するか、あるいは少なくとも、そうした取扱いが確立していること

労基法所定の割増賃金との差額精算の合意ないしはその取扱いが確立していること

 

【コメント】

櫻井裁判官の意見を受けて、具体的な3つの要件を明示しました。

今後同じような裁判が続くようであれば、完全に定着しそうな感じです。

具体的に詳細な雇用契約書が必要であり、無い場合はみなし残業=定額残業代は認められなくなりそうです。

差額清算の実態で、残業時間の把握が困難な場合はどうするか?自己申告が望ましい!